経営改善ブログ
6月は各士業の総会が行われる月でした。
私の所属する福岡県中小企業診断士協会も6月9日に総会が行われ、全国でも3人目となる女性会長が誕生しました。
私も、引き続き「福岡県中小企業診断士協会の副会長」及び「福岡部会の部会長」を拝命しましたので、診断士協会の更なる発展に寄与する所存です。
さて、先月の1日に、同一労働同一賃金に関して2つの最高裁判決が出ました。1つは正社員と定年後再雇用者の待遇格差が問題となった長澤運輸事件、もう一つは正社員と契約社員の待遇格差をめぐるハマキョウレックス事件です。二つの事件は、正規と非正規の処遇格差について争われた事件でした。
長澤運輸事件では、労働条件の決定について、下記のように述べています。
「労働者の職務内容及び変更範囲により一義的に定まるものではなく、使用者は、雇用及び人事に関する経営判断の観点から、労働者の職務内容及び変更範囲にとどまらない様々な事情を考慮して、労働者の賃金に関する労働条件を検討するものということができる。また、労働者の賃金に関する労働条件の在り方については、基本的には、団体交渉等による労使自治に委ねられるべき部分が大きいということもできる。」
すなわち、従業員の賃金などを決定する場合は、職務内容等だけではなく、定年後再雇用に関する国の制度(ここでは、高年齢雇用継続給付、老齢年金等)等のその他の事情も考慮したうえで、経営判断を行ってくださいねということではないかと思われます。
会社を経営していく上で、従業員の賃金は固定費となります。この固定費が経営を圧迫している会社は多く見受けられます。また、昨今は、ただでさえ人手不足であり、人材獲得のために人件費が高騰しています。そのような中で、今回の判決の内容によっては、更に経営者に負担を強いる可能性のあったものでした。
今後は手当を整備・適正化し、職務上の違い、異動の違い、人事評価、責任の違いを明確にすることが求められます。
この判決を受けて、賃金制度や人事制度の見直しを迫られる企業も多く出てくるものと考えます。また、労使トラブルや訴訟も増えるかもしれません。
経営者の皆さま、従業員になぜその額の賃金を支給しているのか説明ができますか?
安部中小企業診断士事務所は、“100年続く企業”を応援しています。
[2018.6.1]
カテゴリー:個人情報
今年は蜂たちが、低いところに巣を作っているそうで、大型の台風が来るのではないかとの話を聞きました。農家さんなどが生き物の生態や行動、雲の様子などから長期的な天気を予想することを、観天望気というそうです。
さて、5月は個人情報関係について、いろいろ大きく動いた月だったと思います。
世界に目を向けますと、EUでは「一般データ保護規制(GDPR)」が施行されました。
個人データの取得や処分の方法、EU域外への持ち出しを厳しく規制するもので、違反すれば最大で世界売上高の4%、又は2,000万ユーロ(約26億円)の高い方を罰金として科されます。
関連する日本企業でも8割が対応できていないそうです。
また、国内に目を向けますと、雇用保険の手続きでマイナンバーの記載が必要になりました。
昨年1月に労災保険、7月に協会けんぽ、今年3月には年金機構でマイナンバーの記載が始まっていました。
(※ 手続の種類により、前後しているものもあります。)
このように、会社で行う従業員に関する手続の多くにマイナンバーの記載が必要になってきました。
マイナンバー法※は、個人情報保護法の「特別法」としての位置づけとなっています。このため、マイナンバーに関してはマイナンバー法の規定が個人情報保護法よりも優先されます。
(※ 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)
そして、個人情報保護法よりも厳しい罰則、4年以下の懲役または200万円以下の罰金または併科という重い刑罰が科されることになっています。GDPRよりは軽いと思われますが、故意に漏洩させた場合は、個人に対して科されます。
情報漏洩は、罰則を受けるだけでなく、顧客や従業員からの信用問題にも大きく関係します。個人情報を扱う際には、情報漏えいの行えない管理体制をしっかりと見極めて構築することが、経営者にとって重要な課題といえるでしょう。
昨年5月30日に改正個人情報保護法が全面施行され、中小企業をはじめとするすべての事業者が個人情報保護法の適用対象となり、1年がたっています。
そろそろ、会社の情報管理体制について見直しを始めてみませんか?
安部中小企業診断士事務所は、“100年続く企業”を応援しています。
[2018.5.18]
カテゴリー:人材育成
◇ 離職率低下 大作戦
◇ 社員が動かないのはPDCAのせいだった
◇ 誰も教えなかった 中小企業の時短術
◇ おじさん再起動! 中高年を戦力化せよ
◇ 社員が逃げない 「社長の報酬」
◇「休める会社」 はつくれるのか
◇ 採用サバイバル
◇ 昇給だけでは、社員は働かない
◇ 新人のやる気を引き出す導入教育
◇ あなたを悩ませる「困った社員」
上記の見出しに、何か魅かれるはありますか?
これらは、日経トップリーダーという経営者を対象に発行されている月刊誌の昨年1月から今年5月までの特集見出しのピックアップです。17か月うち10か月において、人材育成をテーマとするような特集が組まれています。経営者の皆さまがどれだけ“人”に悩まされているか、この見出しから見て取れます。
かねてより、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」という4つの経営資源で、人材は、企業が経営を行う上で必要不可欠なものです。
『じんざい』は、『人材』『人財』『人在』『人罪』という4つの漢字があてはめられるといいます。
中小・小規模企業にとっては、『人』に顧客や仕事が接着していることもあり『人の価値』が『企業の価値』の多くを形成している場合もあります。当事務所では、従業員の一人でも多くが『人財』となり、「成果」の方が「経費」より大きくなるよう、人財育成のお手伝いを行っております。
安部中小企業診断士事務所は、“100年続く企業”を応援しています。
今年の桜の開花は早かったですね。私は、月初、桜吹雪の中お花見をしてきました。
暗闇に、ほんのり桃色の桜の花びらがハラハラ舞う様子はとても幻想的でした。
前回のブログで、特許の保有件数について『アメリカが1位、日本が2位で、3位が中国』と記載しておりましたが、数日後の日経新聞によると、日本は中国にあっさり抜かれていましたね。
中国の出願件数はここ15年でみていくと、毎年10%以上伸びており、17年は48,882件ということで、
3年以内に中国が1位のアメリカ(56,624件)を抜くのではないかと、WIPOが予測しているとのことでした。
今度はアメリカが中国の知財侵害を理由に、中国製品5.2兆円~6.3兆円に関税引き上げなどの制裁を行うと発表しました。皆さんもご存じの通り、中国の知財侵害については、アメリカ、日本、欧州も問題視しており、何かしらの被害を被っています。
国を挙げての模倣に取り組んでいるため、アメリカのように対国で出ないと、対民間企業では太刀打ちできないですね。
と、大きな話になってしまいました。
経営を行っていく上で、自社の現状を知るということはとても重要なことになります。
それは目に見える金融資産や不動産などの財産だけでなく、経営理念や知的財産などの目に見えにくい財産についても言えることです。
14年にDeNAがキュレーションサイトに算入するために、ベンチャー企業を買収しましたが、その際記事や写真の盗用疑惑や著作権侵害により、火消しにずいぶん時間がかかり、痛手をおったことは記憶に新しいことでしょう。知財デューデリジェンスに対し対策を怠ったからだといわれています。
このことからも、日本では、大手企業でさえ、知財に関しての意識は薄いように感じます。
手元資金や人的資源に乏しい中小企業の生き残り戦略として、知財保護の重要性は増しています。
特許庁は、知財デューデリジェンスの意義や手法を指南する『標準手順書』をから出し、知財に関する認識の拡大を目指しています。
また、6月以降になりますが、貸借対照表に記載する無形固定資産の評価対象や方法の明確化、各省庁での具体的な評価方法を『新・知財戦略ビジョン』にまとめる方針です。
このように国を挙げて知財の意識啓発に力を入れています。
前回お伝えしていました、私が出願中の3件の商標権ですが、無事に1件商標登録ができました。昨年の8月に出願をしていますので、約8ヶ月と長い道のりでした。
あと2件は、5月ごろにわかるようです。
当所では、アライアンスを組んでいる弁理士さんがいるので、知財を含めた経営全般に対するご支援を行います。
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[2018.3.20]
カテゴリー:経営
『トーキョートッキョキョカキョク』という早口言葉、小さいころにありませんでしたか?
本当は、こんなところないそうですね。
今回は「知的財産経営」について書かせていただきます。
知的財産とは、『人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには、 財産的な価値を持つものがあります。 そうしたものを総称して「知的財産」と呼びます。 知的財産の中には特許権や実用新案権など、 法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあります。 それらの権利は「知的財産権」と呼ばれます。』 (日本弁理士会HPより)
知的財産には、皆さんご存知の『特許権』をはじめ、『実用新案権』『意匠権』『商標権』『著作権』などがあります。
日本は、特許の保有件数では世界有数であり、米国に次ぎ2位となっています。しかし、昨今、中国が猛追しており、平成29年の特許出願件数は10年前の約5倍の138万件まで増えており、日中が逆転する日も近いのではないかと思われます。
では、国内で見ていきますと、中小企業の特許出願は増加傾向にあるものの、中小企業の特許出願割合は、わずか約14%にすぎず、米国のほぼ半分で、知財を保有する中小企業の割合は、5.4%です。(平成27年)
中小企業に限って言いますと、未だ知的財産に関する関心・意識は低いように感じます。
しかし、知的財産の保有は長い目で見れば企業の利益率向上に寄与するとのデータもあり、特許庁によりますと、特許をもつ中小企業の売上高営業利益率は平成14年度で4.2%であるのに対し、特許のない中小企業の2.6%はもとより、大企業平均の3.2%をも上回っているというデータもあります。
また、「知財を保有、活用すると取引先や銀行からの信用も高まりやすい」と言う声もあります。
中小企業においても、知的財産の保有はビジネスチャンスの発掘につながるのではないかと思われます。
私ごとですが、現在3件の商標権を出願中です。昨年の8月に出願をしており、今まであれば6か月ほどの期間で可否が通知されてきているということでしたが、現在7か月以上かかっており、大変込み合っている状況ということです。
私も出願中の商標は近いうちにビジネスに生かしていくつもりです。中小企業経営者の方も、身近にある知的財産と今一度見直し、ビジネスに生かしてみませんか?
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