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経営改善ブログ

[2026.6.26]

カテゴリー:国の施策

最近、事務所へ外国人経営者から「経営・管理」ビザ更新審査のための企業評価書(経営改善の見通しについての評価書)の作成依頼が急増しています。これは2025年10月に更新審査が厳格化されたためです。

 

日本の出入国在留管理行政において、外国人起業家および経営者を受け入れるための在留資格「経営・管理」は、日本経済への直接投資の促進と新たな雇用創出の要として機能してきました。しかし、2025年(令和7年)10月16日に施行された上陸基準省令等の抜本的改正により、同在留資格の取得、維持、および更新にかかる要件はかつてない水準へと引き上げられ、制度の歴史的転換点を迎えました。

このパラダイムシフトの根底にあるのは、名目的なペーパーカンパニーの設立や、実体を伴わない極小規模事業を通じた事実上の「就労目的・在留目的の入国」を徹底的に排除し、真に日本経済に付加価値をもたらす資本力と実現可能性を備えた持続的な事業体のみを受け入れるという政策的意図です。

在留期間の更新審査である、過去の経営実績に基づく「事業の継続性(安定性)」と「公的義務の履行状況」が極めて冷徹な視点で審査されるようになりました。

 

企業経営において、特に創業初期には先行投資の負担や市場開拓の遅れにより、単年度の決算が赤字に陥ることは経済活動の性質上避けられない場合がある。出入国在留管理庁も「1期目の赤字=即不許可」という硬直的な運用はしておらず、貸借対照表上の純資産の状況を含めて総合的に事業継続性を判断する基準を設けています。しかし、財務状況が一定の危険水域に達した場合、自社内での事業計画の策定にとどまらず、第三者である国家資格者(中小企業診断士等)が作成した「経営改善の見通しについての評価書」の提出が義務付けられています。

 

2025年10月の「経営・管理」ビザ上陸基準省令改正、ならびにスタートアップビザの全国展開は、日本の外国人起業家受け入れ政策における明確な「質への転換」を意味しています。「資本金3,000万円以上」「常勤職員1名以上の雇用」という極めて高い参入障壁は、日本国内で実質的な経済波及効果と雇用を生み出す覚悟と能力を持ったアントレプレナーのみを選別するという国家の強い意志の表れです。

この高度化された制度を適正に運用するため、出入国在留管理庁は審査の一部を外部化し、新規参入時の「専門家の確認書」と、財務悪化企業に対する「改善見通し評価書」という二重のゲートキーパー機能を国家資格者(中小企業診断士・公認会計士・税理士)に委ねました。これにより、入管法務手続きを専門とする「行政書士」と、事業の財務的妥当性を分析・担保する「経営の専門家」の双方が強固に連携する新たなエコシステムが構築されつつあります。

既存の「経営・管理」ビザ保有者にとっては、2028年10月までの3年間の経過措置は単なるモラトリアムではなく、事業規模を劇的に拡張するための猶予期間であります。外国人経営者は、租税および社会保険の完全なコンプライアンスを前提としつつ、専門家の支援を仰ぎながら、資本増強と雇用創出に向けた具体的なトランジション・プランを実行に移さなければならなくなりました。

 

当事務所では外国人経営者の事業計画策定や企業評価書作成のご支援もしておりますのでお気軽にご相談ください。

 

安部中小企業診断士事務所は、“100年続く企業”を応援しています。

[2026.5.29]

カテゴリー:経営

中小企業の経営者がAI(人工知能)をビジネスに導入・活用する際、大企業のような潤沢な資金や専門人材がないからこそ、「限られたリソースでいかにリスクを抑え、最大の効果を出すか」という視点が極めて重要になります。

経営者が押さえておくべき具体的な留意点を、4つの軸に整理しました。

1. 目的の明確化(「AIを使うこと」を目標にしない)

もっとも陥りがちな失敗が、「流行っているから」「競合が使っているから」という理由での導入です。

  • 課題起点で考える: 「人手不足による問い合わせ対応の遅れ」「契約書チェックの標準化」「売上予測の精度向上」など、まずは自社の具体的な課題を洗い出します。

  • 投資対効果(ROI)の見極め: 高価な独自システムの開発(カスタムAI)ではなく、まずは月額数千円〜数万円で使える既存のSaaS(クラウド型サービス)や、生成AIのビジネスプランからスモールスタートするのが鉄則です。

 

2. リスク管理とセキュリティ(最大の重要事項)

中小企業であっても、情報漏洩や法令違反が起きれば企業の信用に致命的な打撃を与えます。

  • 機密情報の入力禁止(最重要): 無料版の生成AIなどをそのまま使うと、入力したデータ(顧客情報、独自の技術、未公開の財務データなど)がAIの学習データとして再利用され、外部に流出するリスクがあります。必ず「データ学習をさせない設定(オプトアウト)」や、商用向けのセキュリティが担保されたプラン(ChatGPT Team/EnterpriseやCopilot for Microsoft 365など)を選んでください。

  • 「ハルシネーション(嘘)」のファクトチェック: 生成AIは、もっともらしい嘘(事実とは異なる回答)を出力することがあります。AIが作った文章やデータは、必ず人間の目でファクトチェック(事実確認)を行ってから外部に出してください。特に法的文書や対外的な広報、顧客への提案書は必須です。

  • 著作権・ライセンスの確認: AIが生成した画像や文章が、他者の著作権を侵害していないか、また商用利用が認められているツールかどうかを必ず確認してください。

 

3. 社内の仕組みづくりと教育

AIツールを導入しても、現場の社員が使いこなせなければ意味がありません。

  • ガイドラインの策定: 「どの業務で使っていいのか」「入力してはいけないデータは何か」を明確にした、社内向けの「AI利用ガイドライン」を必ず作成し、周知徹底してください。

  • 小さな成功体験(クイックウィン)の共有: まずは「議事録の要約」「メールの文面作成」「ブレインストーミングの壁打ち」など、誰でもすぐに効果を実感できる業務から触れてもらい、社内の心理的ハードルを下げることが成功への近道です。

 

4. ベンダー(IT業者)任せにしない

外部のITコンサルタントやシステム開発会社に相談する際、すべてを丸投げするのは危険です。

  • 自社の業務プロセスは経営者・現場が一番知っている: AIに「何を学習させ、どうアウトプットさせるか」の設計には、自社の業務知識が不可欠です。ベンダーとは「対等なパートナー」として対話し、自社主導でプロジェクトを進める意識を持ってください。

 

AIは「魔法の杖」ではなく、非常に優秀な「新入社員(あるいはアシスタント)」のようなものです。指示の出し方(プロンプト)次第で成果が大きく変わり、時には間違ったことも言います。経営者自身がまず触れてみて、その特性を肌感覚で理解することが、もっとも確実な一歩になります。

 

安部中小企業診断士事務所は、“100年続く企業”を応援しています。

[2026.4.24]

カテゴリー:経営改善

中小企業の出口戦略(エグジット)は、経営者がこれまで築き上げてきた事業をどのように次世代や他者に引き継ぐか、あるいは畳むかという「出口」の設計図です。

 

特に「後継者不在」や「赤字続き」という課題がある場合、選択肢は大きく分けて以下の3つに整理されます。

1. 親族外承継(従業員や役員への引き継ぎ)
2. 第三者承継(M&A)
3. 廃業(清算)

 

戦略を立てるためのステップ

ステップ 内容
現状把握 自社の資産、負債、強み(知的財産や人脈)を正確に可視化する。
磨き上げ コスト削減や在庫整理を行い、少しでも財務状況を綺麗にする。
専門家への相談 事業承継・引継ぎ支援センターや、信頼できる中小企業診断士、顧問税理士などに早期に相談する。

「赤字だから」「後継者がいないから」と先延ばしにすると、選択肢はどんどん狭まってしまいます。特に赤字が続いている場合は、「経営改善による再生」か「早めのM&A」か、早急な判断が求められます。

まずは、自社の「目に見えない資産(顧客リスト、技術、許認可など)」が他社から見てどれほどの価値があるかを再確認することから始めてみてはいかがでしょうか。

安部中小企業診断士事務所は、“100年続く企業”を応援しています。

[2026.3.14]

カテゴリー:経営改善

今回のブログは、コロナ禍以降に経営改善が必要な中小企業が急増していますが、その出口戦略について述べてみたいと思います。

 

1.経営改善と出口戦略の全体像
経営改善の最終的なゴールは、単なる「黒字化」ではありません。その先の「誰に、どのような形で事業を繋ぐか」を定義することです。出口を意識することで、磨き上げるべき経営資源(磨き上げ)が明確になります。

 

2.主要な4つの出口戦略

出口戦略の類型 主な承継・譲渡先 特徴とメリット 留意点・課題
親族内承継 子・親族 理念の継続性が高い。従業員の心理的抵抗が少ない。 後継者の能力・意欲。相続税対策が必要。
親族外(社内)承継 役員・従業員 事業を熟知している。現場の士気が向上しやすい。 株式買い取り資金の確保(MBO等)。個人保証の引き継ぎ。
M&A(第三者譲渡) 同業他社・異業種 創業者利益の確保。シナジーによる事業拡大。 企業文化の適合性。情報漏洩のリスク。
IPO(株式公開) 証券市場 資金調達力の向上。社会的信用と知名度の獲得。 厳格な内部統制と高いコスト。継続的な成長義務。

 

3.出口へ向けた「磨き上げ」のステップ

どの出口を選ぶにせよ、企業価値を最大化するためのステップは共通しています。

①財務の健全化

・不要資産の処分とコスト削減。

・公私混同(オーナー私費と会社経費)の完全な分離。

②属人性の排除(マニュアル化)

・「社長がいないと回らない」状態からの脱却。

・業務プロセスの可視化と標準化。

③独自性の強化

・知的財産、特許、または特定の地域・顧客との強固なネットワークの整備。

④コンプライアンスの整備

・労務管理(残業代未払い等)や契約関係の適正化等。

 

4.経営改善のフェーズ別アクション

【改善期】

赤字脱却、キャッシュフローの正常化に注力。まずは「売れる状態」にする。

【安定期】

出口戦略を決定。親族か、社員か、売却かを定め、逆算して3〜5年の計画を立てる。

【実行期】

資産の整理、後継者教育、または仲介会社を介したマッチングを開始。

 

結論

出口戦略のない経営改善は、終わりのないマラソンのようなものです。特に現在の日本では、第三者へのM&Aを選択肢に含めることで、従業員の雇用を守りつつ、経営者がハッピーリタイアを実現するケースが増えています。

まずは、「5年後、誰がこの会社の椅子に座っているべきか」を具体化することから始めてみてはいかがでしょうか。

 

安部中小企業診断士事務所は、“100年続く企業”を応援しています。

[2026.2.21]

カテゴリー:士業間連携, 補助金・助成金

2026年1月1日に施行される「改正行政書士法」により、補助金申請支援のあり方が大きく変わりました。

今回の改正の目玉は、第19条(業務の制限)の文言が厳格化されたことです。これにより、行政書士資格を持たないコンサルタントや他士業による「実質的な代行行為」への取り締まりが強化されています。

 

支援者として活動する際の主要な留意点を整理しました。

 

1.報酬名目による「逃げ」が不可能に

これまで、無資格のコンサルタントが「これは書類作成の対価ではなく、経営アドバイス料(コンサル料)や会費である」と主張して実質的な申請代行を行うケースがありました。

・改正のポイント: 条文に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が追加されました。

・留意点: 手数料、成功報酬、顧問料、事務手数料など、どんな名称であっても、実態として「書類作成(電子申請の入力含む)」への対価が含まれているとみなされれば、行政書士以外の者は法違反となります。

 

2.「書類作成」の定義の厳格化

補助金の事業計画書は、官公署(事務局)に提出する「書類」に該当します。

・留意点: * 代筆・入力代行の禁止: 行政書士でない者が、事業者に代わって申請システム(jGrantsなど)にログインし、内容を入力したり送信ボタンを押したりすることは、原則として禁止です。

・「助言」と「作成」の境界線: 中小企業診断士などの他士業ができるのは、あくまで「経営上の助言(ブラッシュアップ)」です。最終的な提出書類の形にまとめ上げる作業を有償で請け負えるのは、行政書士のみであることが明確化されました。

 

今後の動向への注意

この改正は、いわゆる「悪質な補助金コンサル」を排除し、申請者の保護を目的としています。支援にあたっては、形式的な資格の有無だけでなく、実態として「誰が書類を完成させたか」が厳しく問われるようになっています。

 

当事務所では補助金支援に関してコンプライアンスを遵守し、他士業との連携により分業体制を構築し支援しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

安部中小企業診断士事務所は、“100年続く企業”を応援しています。

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